君と、優しくて愛しい日々を。



…ときどき彼から見える想いが、逆に切なくて。

大人な彼に、まっすぐにしか想いをぶつけられない自分が、私はなんだか子供っぽく感じていた。






ついに迎えた、土曜日。

午前十時過ぎ、精一杯のオシャレをして、駅に向かう。

ナツと会うのは、一ヶ月ぶりだ。

前は、私が電車に乗って行ったんだよね。

付き合ってから会えなかった一ヶ月が、まだ付き合ってなかった頃に会えなかった一年間より、ずっとずっと長く感じた。


駅につくと、改札口から見える場所で、立ち止まる。

当然だけど、外はもう夏の気配なんて残っていなくて、この季節にナツと会えることが信じられなかった。

季節は、冬。

息を吐けば白く色がついて、お昼でもまだ仄暗い。


…今までなんとも思っていなかった冬の季節も、彼がいれば、それも愛しい季節になるんだろうな。



「未海!」

名前を呼ばれて、ハッとした。

ずっと外を眺めていた私は、すぐに改札口へ目を向ける。

冬の装いをしたナツは、目が合うと優しく笑った。


「よ。可愛い格好してんじゃん」


そんなことを言って、私の頭を撫でる。

…やっぱり、子供扱いだ。

顔が熱くなるのを抑えながら、「でしょー」なんて、唇を尖らせた。