…ときどき彼から見える想いが、逆に切なくて。
大人な彼に、まっすぐにしか想いをぶつけられない自分が、私はなんだか子供っぽく感じていた。
*
ついに迎えた、土曜日。
午前十時過ぎ、精一杯のオシャレをして、駅に向かう。
ナツと会うのは、一ヶ月ぶりだ。
前は、私が電車に乗って行ったんだよね。
付き合ってから会えなかった一ヶ月が、まだ付き合ってなかった頃に会えなかった一年間より、ずっとずっと長く感じた。
駅につくと、改札口から見える場所で、立ち止まる。
当然だけど、外はもう夏の気配なんて残っていなくて、この季節にナツと会えることが信じられなかった。
季節は、冬。
息を吐けば白く色がついて、お昼でもまだ仄暗い。
…今までなんとも思っていなかった冬の季節も、彼がいれば、それも愛しい季節になるんだろうな。
「未海!」
名前を呼ばれて、ハッとした。
ずっと外を眺めていた私は、すぐに改札口へ目を向ける。
冬の装いをしたナツは、目が合うと優しく笑った。
「よ。可愛い格好してんじゃん」
そんなことを言って、私の頭を撫でる。
…やっぱり、子供扱いだ。
顔が熱くなるのを抑えながら、「でしょー」なんて、唇を尖らせた。



