君と、優しくて愛しい日々を。



『……“ ジェイド・バイン ”…?』


説明文には、リロザの言った通り『碧色』と書いてある。

描かれているのは、下向きの房がいくつも重なっている、見たことのない植物だった。

『碧色って、どんな色なんだ?』

『私も気になってな、学者に翡翠葛の色を見せてもらったことがある』

その本の後ろに挟まれていた白い上質の紙には、絵の具で塗られた『その色』が、確かにあった。


『この色だ……あの子と、そっくり』


ミラゼの言っていたことは、確かに正しかった。

翡翠葛。

『碧色』の…植物。

紙の色を見続ける俺に、終始リロザは眉を寄せていた。

…あの少女の髪色と翡翠葛の色が、俺の目に強く強く焼き付いていた。






「よ、リロザ」


部屋の扉を開けて中へ入ると、リロザは読んでいた本から顔を上げて、あの頃のように眉を寄せた。