まだ泣き叫んでいる結奈。
しかし誰も助けようとはしない。

友達にまで見放されて、ホント

「ホント、可 哀 想」

クスリと笑って哀れむ。

「本当、性格歪んでるのは変わらないね」
「褒め言葉として受け取っておきますわ…そういう陽和は助けてあげませんの?」
「何故、助ける必要があるの?私には関係のないことだから」
「陽和のほうがよほど、歪んでいるのでは?」

幼馴染みの陽和と話しているうちにさっきまで威勢良く行われていたいじめが止んでいた。

教室がシンとしていたのだ。

皆の視線はある男子生徒に注がれている。すると男子生徒が口を開く。

「くだらないことするのやめたら」

この男、穂鳥叶都。顔が広く、美形で有名人。

しかし、特定の人物は作らずまさに、広く浅く、という言葉がピッタリだ。

「か、叶都?別に、うちらは制裁してただけだよっ!」

周りの女子も頷く。
かなとに気に入られようとでもしているか、誤解を解こうとするがもう遅い。

しかし、命都にとってはお節介。
なんせ、劇が終わってしまったのだから。
命都は彼に冷ややかな目を向けた。