「はい……。 二人に負けないよう頑張ります、私も」
「うちの春月屋に出入りしている業者の子もけっこうレベル高いよ。あと、近くの劇場の役者とかも買いにくるからさ」
日高さんはそれからも色んな話をしてくれた。主に恋愛話が中心だったけど、それでも私の知らない世界がいっぱいで楽しく聞けた。
彼女がそんなキラキラ輝く世界で堂々と生きているのは、頑張っているからだと思うとさらに尊敬することができた。
私も、後ろ向きに悩む暇があったら頑張って進んでみようって思えた。
「あと、気になってるのよね。勘、だから申し訳ないけど」
紅茶一杯を奢る払うの押し問答中に、急にそう言われて伝票の取り合い中の手を止める。
「勘?」
「鹿取ちゃんの妹さんの美鈴ちゃんって幹太の事」
「へ」
「なーんて隙あり」
奪い取られた伝票はそのままカードと共にレジに吸い込まれるように置かれてしまう。
日高さんは、甘えなさい、と私に親指を突き出して男前に笑ってくれた。



