日高さん……。
自分の方が大変なのに、私の事を気にかけてくれたんだ。
それと初日に幹太さんが私に冷たかったのはお見合い自体が起こらないようにとわざと大袈裟にパフォーマンスしたんだと思うと言ってくれた。
もし私が幹太さんとお見合いするようなことがあっても大丈夫なように、教えて勇気づけてくれたんだ。
「はい。勿論です。ありがとうございます。今、私、すごくわくわくしてます」
「え? 外人さんとはダメだったのに?」
先ほどから聞きたくてうずうずしていたのだろう、身を乗り出してきた。
「はい。元々、鳥籠から出してくれるという一夜限りの賭けでしたから。今、寂しいけどわくわくして満たされてます。もう鳥籠には戻りません。あの方には、感謝しか浮かばないです」
夢は、覚めてしまうからこそ、その瞬間瞬間を楽しめる。いつか、覚めるから。
「そっか。ふっきれたのか」
残念そうに言うけれど、顔は優しい。顔は、幸せそうだった。
「私もね、この子と頑張る。だから幹太にも頑張って欲しいんだよね」
お腹を摩ると、その瞬間、日高さんの表情は慈愛に満ちていて、本当に聖母マリアを連想させる。



