手を離した日高さんは、ホットココアをゆっくり飲みだした。
こんなにさらりと話せるようになるまでに、一体どんな葛藤や壁や、泣きたい夜に耐えてきたのだろう。
彼女が美しいのは、内面から浮き出ているからなのかもしれない。
「幹太があまりにも私に義務的に尽くしてくるから、小百合さんに相談したの。幹太の婚期が遅れるから私は仕事辞めますって。反対されちゃったけどね」
ぺロりと舌を出した後、また真剣な顔に戻った。
「その後に、貴方が春月屋に来たのは、きっと偶然じゃないわ。――小百合さんも貴方の母親も、きっと画策してるんだと思う。土曜のイベントに幹太を送迎に使うぐらいね」
「あっと、ちょっと私には意味が分からないです」
画策とか、小百合さんがうちの母親に加担するようには見えないし、そもそも何を画策するのか。
「そこよ。貴方が世間知らずなお嬢様なのを良いことに、周りから攻めてると思うの」
「あの、だから意味が」
「貴方と幹太をくっつけさせようってしてるのよ」



