「以前、幼馴染って言ってませんでした?」
「あはは。正解。あってるね。でも、半分正解かな? 私の旦那と私と幹太の三人が幼馴染で、――新婚ほやほやでアイツが死んじゃったから幹太がアイツの代わりに私を守ろうと必死なの」
さらりと話した中に、思いがけない言葉が入っていて私は固まってしまった。
持っていた紅茶のグラスが、小刻みに震える。何か話しかけなければいけないのに、頭が真っ白になる。
そんな震える手に、日高さんは自分の手を重ねて真っ直ぐに此方を見た。
「ごめんね。こんな話。でも、鹿取ちゃんにも関係ない話ではないの、幹太の事だから」
私に関係ある話? 幹太さんが?
「衝突事故でさ、車なんて跡形もなくって酷い有様だったみたい。私なんて突然すぎて驚いちゃって、アイツが亡くなってから一カ月の記憶が曖昧ってか、すっぽり無くなっちゃってさ。恥ずかしいわ。ちゃんと見送りもせず自分の事ばかり。そんな私を部屋からひきずり出してくれたのが幹太。で、その時に妊娠2カ月だって分かってさ、もう頑張らばねばと私がギャン泣きしたら、――幹太が『俺がいる』って言ってくれたのよ」



