「そりゃあ、幹太が28にもなって浮いた話が一個もないからじゃない? もう妙齢なのに」
「浮いた話……」
「幹太もさ、私を心配して送迎してくれたりするのは有り難いけどね。ちょっと距離が近いかな。私があのパートさんたちになんて影口を叩かれてるか」
「でも日高さんは何倍も言い返してて凄いです」
未だにパートの山元さんと森田さんは仕事内容を確認したり話しかけると嫌な顔をされてしまうから私も苦手意識が消えないし。
「ふふふ。母は強しよ。お腹に子供が居なかったら影口なんて殴り合いで解決してたわ」
時計を見て休憩時間を確認すると、私に優しく微笑んだ。
「話が逸れちゃってごめんね。でも、鹿取ちゃんがあの外人さんが好きならいいの。家の事とか小百合さんのこととか気にしないのよ?」
好き――。
その言葉を反芻すると、未だに甘い疼きを思い出す。
身体を繋げる行為は、――そんなに綺麗な事だけじゃないし、痛みも恥ずかしい格好もするし全部見られちゃうし。
でも、ううん。だから好きな人としか出来ない行為だと思う。
デイビットさんの気持ちはもう私には一生分からないけど、――きっと私への優しさから抱いてくれたのだと思いたい。



