「へぇ。鹿取ちゃん、一人暮らししたいんだ」
コンビニで貰って来たアパートなど住宅の情報誌を見ながら、賄いのうどんを食べていたら日高さんが覗いて来た。
「お金ってかかりますね」
「そうねぇ。もう少し実家に甘えて貯金してからがいいわよ。結婚して妊娠しちゃったら悪阻が酷いと先に休職しなくちゃだし、家を出るなんて結婚してからでいいって」
御煎餅を豪快に歯で割りながら、日高さんは言った後、思い出したように身を乗り出して、小声で言う。
「昨日、あの外人さんとデートどうだった?」
「何でそれを!」
びっくりして後ずさった私に、不敵な笑みで見つめてくる。
「だって、私服持ってきてたし。幹太の御迎えを断ったんでしょ? 小百合さんがおろおろしてたよ」
小百合さんと言われてまだ幹太さんの親だとはどうもピンと来ない。
おっとりして綺麗で、テキパキとしてるけど。
「小百合さんもなんで幹太さんに送迎頼んだんだろ。うちの親にどんな事言われたんですかね」
さり気なくデートの件から話を逸らしと、一瞬日高さんが黙って煎餅に伸ばした手を止める。



