ところがデイビットは着物の割れ目から手を進入したのはいいが、帯の脱がせ方が分からず、結局私が彼の目の前で脱がせて見せた。

碧眼のビー玉のような瞳が、するすると帯が落ちて行くのをじっと見つめる。それが恥ずかしくて、背中を向ける。背中から肩へ落とされて、月の光で淡く背中が浮かび上がる。

急に恥ずかしくなり肩で着物を止めてしまうと最後はデイビットさんに前を開かれ床へ落とされた。

――綺麗です。

着物を脱がせ、そう言うと、私を優しく抱きしめた。

 ほんの数日前までは他人だったのに、体を開き抱かれている。母が望むような家柄でもない、青いビー玉のような瞳の男に。

 日本人は外人にすぐに足を開くと馬鹿にされている風潮があるのを知っていた。春月屋の休憩室で、パートの二人が影口を叩くように。
だが、鳥かごの中の自分か関係ない、関わりが無い、そんな品のないことはしないと、軽蔑していたのに。


 ――悪いことするのが、気持ちいい。

そう溢れだす感覚が、全身を震えさせる。おかしく、狂わせる。