だから。
「大使館まで、幹太さんに送っていただく事になりましたから」
母の独断なんて少しも動揺しないんだから。
なんで幹太さんなのか分からないけど。
「あと、着ていく着物も用意しましたから」
そんな、勝手なこと言われても、何を言われても、今は平気。
何もかも決められて、放り出されることにもう諦めを感じていた。
ただ、それにもう尽き従うつもりは毛頭ない。
にっこり笑って、頷いて、でも私はもう感情を持ち始めている。
――あの人が贈ってくれた服を着るのだと。
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