三月某日。

鹿取家の庭の桜の木にも花が色づき始めたあるうららかな春の日差しが心地よい日。

産婦人科に元気な産声が響いた。


つい昨日、レントゲンを撮り大丈夫でしょうと帝王切開を免れたばかりだったのに、安心したのか、私は元気な女の子を出産した。

髪もふさふさの金髪で、瞳もデイビーと同じ紺碧色。


「嗚呼、美麗! 美麗! ありがとう。可愛いです。可愛いですよ。美麗にそっくりだっ」

どう見てもデイビーにそっくりな赤ちゃんを見て、興奮気味にそう言う。
仕事を抜け出し、夜通し付き合ってくれたデイビーからは疲労が感じられず、そのまま赤ちゃんを抱いて飛んで行ってしまいそうな雰囲気だ。

陣痛が夜始まり、うたた寝しては陣痛の痛みで起きるの繰り返しで体力を削がれてから漸く分娩室へ上がった時は既に体力が無くて死ぬかと思った。

痛すぎて、記憶が曖昧だ。