【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!

桜の花びらが舞う。今は風に揺れて舞う花弁の音さえ聴こえてきそう。

香りまでして来そうで、甘くて酔いしれるような。

「美麗、美麗、大丈夫ですか?」
(え?)
目を開けると、ちょっと息を切らしたデイビーが私の顔を覗きこんでいた。
デイビーの後ろの柱に掛っている時計を見ると、どうやら私はたっぷり眠ってしまっていたらしい。

「すいません。眠ってました。御帰りなさい」
「美麗が起きないから、皆心配してましたよ。一緒にご飯食べましょう」

起き上がっても、まだ雪の様な桜の様な不思議な夢がどこから夢だったか思い出せない。
顔色を覗き、大丈夫みたいだと何度か頷くと、彼は私にふわりと何かを被せた。

「カシミアのストールです。縁側を歩く時もこれを被って下さいね」

ピンク色のカシミアのストールは、大きくて私のお腹まですっぽり隠してしまった。
確かに暖かいけれど。