「じゃあ、その扇に桜の花が舞い落ちれば貴方の勝ち。私は貴方のものです。でも、扇に桜の花びらが落ちなければ、私の勝ち。……貴方の手腕を見せていただきます!」 精一杯の嫌味を込めて言ったのに、デイビットさんはにこやかに笑うだけ。 風は強いけど、そんなに都合よく花弁なんて扇に落ちてくるわけない。 「時間は?」 「最初に落ちた花びらが、地面に落ちるまで」 どうせ無理だろうから、意地悪に難しい時間にしてみた。 何故だか、私は心が落ち着かなく、嫌な色で心が染まっていたのかもしれない。