私の気持ちは固まった。
晴一くんを見て、その気持ちを決して忘れないようにしようと決意する。
自分の勝手で、宿った命を消したくない。
きっと母に言ったら大反対で、もしかしたらその場で縁側にでも放り投げだされるかもしれない。
だったら、すぐに飛び出して一人で住む場所を探そう。
大きめのバックは何一つ持っていなかったはず。
財布しか入らないような小さなカバンか風呂敷ばかり。仕方なく、学生時代にノートを入れて通学していたカバンに、服を詰め込むだけ詰め込んで、こっそりと家を出よう。
考えは甘いかもしれない。
働き方も知らない私が一人で育てるのは無理かもしれない。
でも、あの家に居たら。絶対にこの子は守れない。階段から落とされて無理やり降ろされたりも考えられる。
病院に行って、まずは診察を受けて、そして母子家庭の援助を受けられるかを病院で聞いてみよう。そう思っていた。
やってみよう。あの人にも頼らずに、優しい人だから迷惑なんてかけられない。
同情で傍に居られたら、きっとこの先、お互いきついし。
決行は、お見合い後だ。



