ベットの柱にぶら下がっているネームプレイとに、桔梗さんの名前と、赤ちゃんの体重と名前『晴一』と書かれていた。
「うーーん、私が春月堂の家紋から名前をとったから子供にも春ってつけたかったんだけどね、晴哉(せいや) と私の子供なんだから、彼の名前を入れたかったの。だから読みだけはハルにしたよ」
にこにこ笑う桔梗さんには迷いは無かった。
もう彼女の中では決めているのだから、何を言っても揺るがないだろう。
「素敵な、名前です」
思わず涙ぐんだ私を、桔梗さんは抱き締めてくれた。
切なくなる。愛しくて胸を抉られる。
この先、私に待ち構えていることは想像以上に険しく、そして無謀なことかもしれない。
鳥籠から飛び出して、何も分からずにそれでも守って生きていかなくてはいけない。
晴一くんは、小さくて可愛らしかった。
あんなに小さな赤ちゃんでも、欠伸はするしお腹が空いたら泣くし。



