【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!


幹太さんの言葉に、桔梗さんは屈託ない笑顔で応える。

後悔はしてないよ、大丈夫だよ、と。

言葉で伝えてくれない幹太さんの一言ぐらいで短くて。

それを桔梗さんは上手に汲み取り分かっている。

二人は幼馴染みだと言っていたがお互いの事をよく分かっている。


「似てるでしょ? 目元とか指先とか……クルクルの髪の毛とか」

桔梗さんがそう言って赤ちゃんに頬擦りすると、旦那さんの御両親だろうか。
優しそうなおばさんがわっと咳を切ったかのように泣き出しておじさんが肩を抱く。

その横で小百合さんも桔梗さんの御両親もハンカチで目頭を抑えていた。



「やだぁ。皆してそんなに泣かないでよ。泣くのは赤ちゃんだけで良いのよ」

ねーと優しい眼差しで笑う。
その姿は強い母親であると同時に繊細な女性の背中をしていた。


「悪い。もう言わない」
「謝るのも止めて。誰も悪くないよ。今はもう皆幸せでしょ? 晴哉が私たちにこんなに素敵な命を残してくれたんだから。ね、晴一」