【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!


自分の事を決して後回しにしたり、現実逃避したわけではなかったが、着いた途端、自分の抱えていた悩むを吹き飛ばすほど感動してしまった。

「あはは、実は昨日ずっとお腹痛くてさ。その痛みが陣痛だったんだねぇ」


そう笑い飛ばしてくれたのは、桔梗さん。

次の日に幹太さん達がお見舞いに行くと聞いて、身体の負担にならないように少しだけ顔を見にお邪魔した。

差しいれも悩んだけれど、気の効いた事もできず赤ちゃん用のガーゼと桔梗さんには母乳が出やすくなる栄養が入っているという謳い文句が書いてあるゼリーにした。


桔梗さんは、死にかけただ、痛かっただ、お花畑が見えただの笑いながら話してくれたけど、穏やかで優しい目で赤ちゃんを見ていた。

「美麗ちゃん、手、握ってあげて」

疲れているはずなのに、そんな素振りも見せず桔梗さんの横で大人しく眠っている赤ちゃんの手に指を乗せた。

反射だと分かっていても、手を握ってくれる赤ちゃんは可愛い。
しわくちゃで、お猿さんみたいに真っ赤な赤ちゃんが堪らなく可愛かった。

10か月も自分のお腹の中で大切に育てるんだ。



「名前、いいのか?」