(嘘……)
その結果に、先ほどの自分はどこへやら、蒼ざめ言葉を失った。
デイビットさんと出会って三週間と幾日が過ぎた頃だ。時期もおかしくないのかもしれない。
駅で、その検査をして結果を見てからどうやって家に着いたのか覚えていない。
思い出すのは、あの夜ばかり。
あの腕枕で眠ったあと、先に消えていたのだ。言葉なんて何も貰っていない。
愛し合ったあの夜ならば、いっぱい言葉は貰ったけど、それは盛り上げるための優しい嘘だったのかもしれない。
本当に籠の中。餌だけ貰い生きてきた。
あれは、ほんの一瞬の夢。白昼夢にも似た幻想。もっと言えば泡沫の夢だと思っている。だけど。
心臓が、バクバク鳴っている。
全身が心臓になったような、太鼓の音が身体中に響くような、不安を響き渡せる、音。
外泊したあの日から母親とは会話らしい会話はしていなかった。
一向に反省の色を見せず、平行線のまま、家に帰っては用意されたご飯を食べる日々。
青ざめて震える肩を両腕で押さえるが震えは止まらなかった。
恐る恐る触れたお腹を押さえながら、途方に暮れていた。



