「あなた、生きてたのね? 忠信くんに殺されたのかと思ってたわ。」 「……それは、母と姉です。」 「あの事件は本当にビックリしたわ。 まさか忠信くんが殺人犯なんてね…。 今も指名手配されてるのでしょ?」 「そうですね。」 「私もすっかり忘れていたわ。 もう何年も前の事件だし。」 そう言って、他人事のように言う吉木。 …ふざけんな。 あたしは、あの事件を忘れたことなんか 1度もないのにっ……。 そう思うと、思わず怒りで手が震えた。