「黙ってんじゃないわよっ!答えなさい!」 「……それじゃあ… あたしのこと、覚えてますか?」 そう言って、 あたしは深く被っていたフードをとった。 「あなたッ……どこかで……。」 しばらく沈黙が続いたあと 彼女は不意に、目を見開いた。 「……あ、あなた… 忠信(タダノブ)くんの娘さん…?」 「覚えててくれたんですね?光栄です。」 あたしは、心無い微笑みを彼女に向ける。 瀬織 忠信は、あたしの父。 吉木と父は同い年らしく あたしは何回か 吉木に会ったことがあるのだ。