「…本当…危なっかし…な…。幸…は…。」



無理に笑い、幸を安心させようと振る舞った。


俺の弱さに気づかないでほしい。
ちゃんと、幸がこの先を生きていけるように、送り出させてくれ…




「…幸…ごめ………。」



「何言って…何言ってんの!!」



この先、傍にいて支えてやれなくてごめん。
でも、幸はもう一人じゃないよな?




「……ずっと…傍に…って…約束……たのに……。」


「…何言って………。これからも…傍にいてくれるんでしょっ……!?」



俺の手を抱きしめる幸に寂しさと愛しさが溢れた。



「…俺……幸とい…ら…れて……っ……。」



首を横に振る幸に、俺は笑顔を向け続ける。


どうか、幸の瞳に映る最後の俺が、笑顔でありますように…
幸の支えになりますように…



「…幸せ…った…。世界で一番…幸を愛して…る…。」



「あたしだって…あたしだって……っ…。」



涙きじゃくる幸の頬に俺は手を伸ばした。


あぁ、もっと感覚があったら良かったのに…
触れているのに、温かさが遠ざかる。



「……愛して……る…。」


幸の頬を優しく撫でた。



「…あたしも…愛してる…。」



俺の手に、幸は自分の手を重ねる。



愛してる。
この世界で、誰よりも、俺自身よりも幸を………
これからを生きる幸の未来が、どうか幸せで溢れてますように…



「…さ…ち…………。」


俺の最後の瞬間は、幸の泣き顔だった。
もし叶うなら、最後に君の………笑顔…が……見たい…………