校舎を出ると、何やら外が騒がしかった。


なんだ、嫌な予感がする………

なぜだか、幸の事を思い出した。
その予感から目を反らすように首を横に振り、早足で校門へと向かう。


「ねぇ、あれやばくない?」

「腕引いてるの金宮じゃね?」


周りにいた生徒の声が聞こえた。
さらに嫌な予感に確信めいたものを感じた。


「っ!!」


俺は慌てて駆け出す。


幸っ、無事でいてくれ!
何も起こってないでくれ!


校門へ近付くと、そこには、金宮に手を引かれ道路の真ん中に立ち尽くす幸がいた。


「くそ!幸っ!!そこから離れろ!!」


精一杯叫んだ。
なのに幸は動き出そうとしない。


声、届いてないのか!?


残酷にも、幸の背後から、トラックが向かってきている。


ー”間に合わない”すぐに、そう悟った。
それでも、俺は止まれなかった。


「幸ーーっ!!」


ありったけの力でその名を呼ぶ。
もし、もし奇跡がこの世に存在するなら…

いつかではなく、今、起こってほしいと願った。


俺の全てを差し出すから、幸だけは守ってくれ!!


そう、強く願うと、幸は不安そうに俺の方を向く。

声が届いた?
でも、もう幸一人で逃げられる距離じゃない。


一か八か、幸を守れるならっ…………!
俺は、そのまま幸の元へと駆けた。


ードンっ!!


そして幸の体を突き飛ばす。
幸の体が遠ざかり、安堵を覚えたのと同時に、ダンッ!!と体に強い衝撃を受けた。



宙に浮く感覚、それからもう一度、今度は打ち付けられる衝撃を受けた。
それからじわじわと痛みが現れる。