「そういや、3年生はもう進路相談が始まってるらしいな」


進路相談………
そうか、また就職して働くなんて、なんか不思議な感じ……


「春は、何するか決めてる?」


郁未の言葉にあたしは頷く。


「もちろん、通訳ね」


ずっとやってきた仕事だし、やりがいがある仕事だった。
あたしの力で、人が心を通わせる事ができるような、手伝いをしたい。


「すげーな、もうしっかり考えてんのか。俺なんて大学行ってから決めようかなー、なんて」

「そうだよね、春ってしっかりしすぎというか…本当に同い年?」


ーギクッ


そりゃ、だてに70年以上生きてきたわけじゃないし、それなりにつちかってきたものが………って!!


記憶があるからか、つい年寄りじみちゃう…
気を付けなきゃ。


「そらぁ、春は70年生きて………モガッ!」

「馬鹿っ!!」


ーバッ!!



慌てて爽の口を手で塞ぐ。


な、何を言おうとしたんだ、この人は!!
もう、前世の事は誰も知らないんだからね!?



「なんだ?70がどうとかって……」

「世の中には知らなくていい事もあるの」


斗真の言葉を遮り、あたしは爽を睨み付けた。



「ゴメンナサイ」


爽は罰が悪そうに謝ってきた。