「敷地内に入れば大丈夫、結界が張ってあるからな」

「ちょっ……私の家の結界は消したくせに、自分の家にはあるんですかっ!?」

「俺の家には大事な物がいっぱいあるんだよ。 武器とか武器とか武器とか、武器とかなっ」




ニヤリと笑う八峠さん。

まったくもうっ、この人の家には どんだけ武器があるんだっ。




「住宅街に結界があったら目立つって言ってたくせにっ」

「いいんだよ、俺は目立ちたいんだっ」

「意味わかんないですっ」




お互いにハァハァ言いながら走ってるのに、それでも会話は続けていた。

そして……、




「後方300っ」

「……っ……」




私にはまだ視えない。

でも確実に距離は縮められている。


幽霊が、もう すぐそこにまで来ているんだ……。





「……八峠さんっ、あの家ですかっ!?」

「おう、その家だっ。 とにかく敷地内に入れっ」

「はいっ!!」




住宅街の一角に、結界に包まれた家がある。

それを目で確認しながら、私はひたすらに駆けていた。


敷地内。

敷地内へ、早く、早くっ……!!







「後方100っ」