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……




その後、私と八峠さんは河川敷へと移動した。


川沿いの道をゆっくりと進みながらも、私の視線は忙しなく動いている。




「今、何か視えるか?」

「いえ、今のところは……」

「俺には視えてるぞ。 100メートルくらい先に女の霊が居る」


「……え、本当ですか?」

「あぁ、それと橋の上に1体居るな。 ボロボロの服を着た若い男の霊だ。 ここからだと1、5キロくらい先かな」




そう言われ、前方に見える橋をジーッと視るけれど、私には何も視えなかった。




「あんまり視ない方がいいぞ? お前が視えていなくても、向こうからはこっちが視えてるからな」

「あ、はいっ……」

「で、女の方は視えてきたか?」


「あー……確認しました、今 視えてます」




ゆっくりと道を進んでるうちに、ぼんやりと女の人が視えてきた。

近づくにつれ、その姿がハッキリと確認出来る。




「感じ取れる範囲は80メートルくらい、か」

「はい」

「視え方は、近づくにつれハッキリと?」


「ですね。 今は凄くよく視えてますが、少し離れたらかなりボヤケます」




──今 私たちは『幽霊を感じ取れる距離』を探っていた。

私の場合は、八峠さんが言ったように半径80メートルほどで幽霊の存在を確認出来る。

一方の八峠さんは、2キロくらい先まで幽霊の存在を確認出来るらしい。


私は目で視てその存在を確認しているけれど、八峠さんは直感的に幽霊を感じ取れるみたい。

心の目で視る……というか、頭の中に幽霊の姿が立体的に映し出されるようだった。