……確かにそうだ。

何もしないままというのは、ただ殺されるのを待ってるのと同じ……。


お札や結界に守られてはいるけれど、それだけじゃダメなんだ。

でも……、




「……だけど、いきなり幽霊を相手にするのは、さすがに無理です……」




……八峠さんが飛ばしてくる幽霊から、私は毎日逃げている。

幽霊を飛ばす方法も倒す方法も、私にはわからないままだ。




「あんなのはただの泥人形だって思えばいいだろ」

「無理です無理ですっ、血だらけなのを見るだけで怖いですっ!!」

「どっかで転んだのかなーって思ってるだけでいいんじゃね?」


「そんなの思えるわけないじゃないですかぁっ……」




普段から幽霊が視えているけれど、八峠さんが飛ばしてくる幽霊は一段と怖い。

内臓が飛び出してるのとか、夢に出てくるほどだ……。




「じゃあお前、これから先もずっと逃げ続けるのか?」

「そ、それは……」

「誰かが助けてくれるのを待つだけ? お札に頼るだけ? 俺やハクや秋やオサキに全部を任せるだけか?」


「う……」

「『自分には何も出来ない、だから守ってください』なんて、お前は自分がよけりゃそれでいいのか?
お前を守るために誰かが死んだら、お前はそれを『ありがとう、助かりました』と言って喜ぶのか?
俺はそんな奴を守りたくはない。 他人任せで自分は何もしないなんて、そんな奴はむしろ死ねって思うぞ」