……薄暮さんやカゲロウのことを知っていたのは、八峠さんだけ……。

でも八峠さんは薄暮さんに手を貸すことなく7年を過ごし、そしてお父さんとお母さんが亡くなった……。


八峠さんは、その時になって初めて後悔したんだと思う。

二人の命がカゲロウに奪われる前に出来ることがあったはず……きっとそんな風に思ったんだ。


でも時間は戻らないし、二人が生き返ることもない。

だから八峠さんは、薄暮さんと一緒に行動することで、前へと進んでいるんだ……。






「カゲロウが生きている限り『カゲロウの血』の連鎖は止まらない。
だから殺るんだよ。 殺らなきゃ殺られるのがわかってるんだから、俺が動くしかねぇだろ」




もう1度 煙を吐き出した八峠さんは、真っ直ぐに私を見る。




「お前も動け。 動いて動いて動きまくれ。
何もしないままだったら いつかカゲロウに殺される。 だったら何かやった方が生きる確率が上がるだろ?」




そう言った八峠さんは、私を見ながらニコッと笑みを見せた。