……学校からの帰り道に、八峠さんはいつも現れる。

これといって決まった場所は無く、言葉の通りまさに『突然』だ。


彼はニヤリと笑ったあと指を鳴らし、問答無用で幽霊を私に飛ばしてくる。

……カゲロウが幽霊を操れるように、八峠さんも幽霊を操ることが出来るらしい。

どうやっているかはよくわからないけれど、それでも幽霊が私に襲いかかってくるのは事実。

お札を持っていても関係無しに、だ。




『八峠クンはカゲロウよりも怖いかもしれないねぇ』




クククッと楽しそうに笑うオサキと同じことを思いながら、私は今 来た道を引き返して走り出す。




「突然幽霊を相手にするとか、普通に無理だからっ」




……八峠さん曰く、『自分の身を守る術を知るにはコレが手っ取り早い』とか。

確かにそうだ。

幽霊から身を守るには、とにかく自分で考えて動く。 それが1番だ。


でも……、




「突然はっ、絶対に無理ですってばぁっ……」




……秋さんに色々教えてもらったけれど、私は何一つ出来なかった。

今もそう。 なんとかしようと思っていても、なんにも出来ていない。


逃げて逃げて、逃げまくって、捕まりかけた時にオサキが敵に噛みついて難を逃れる。

その繰り返しだった。