「一度、八峠さんに相談してみた方がいいかもしれないね」

「……やっぱり、そう思います?」

「最近霊たちの動きが明らさまになってきてるもん。 杏ちゃんを確実に殺そうとしてるから、相当危険だよ」


「うー……」

「お札(フダ)を持っていればほとんど寄ってこないし、何かあったとしても ここに逃げ込めばなんとかなる。
だけど、なんともならない事態になる前に、なんとかしておかなくちゃ」




……何かが起こる前に、出来る対策はしておく。

それはもっともなことだし、生きていくためには それしかなかった。


そして、幽霊のことを相談するなら、親戚一同が信頼を置いている八峠さん以外には居ない。




「……『カゲロウの血』って、相当厄介ですよね……」

「うん。 でも、『カゲロウの血』は そういう運命なんだよ」




深いため息をつく私と、困ったように笑う秋さん。

そんな中で、私は携帯に登録された八峠さんの番号をぼんやりと見つめていた。