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それから私は、コーヒーと救急箱を思って部屋に戻った。
秋さんの分は至って普通のコーヒーで、八峠さんの分は砂糖 激盛りの甘々だ。
砂糖の量は、朝のコーヒーよりも大さじ1杯ほど多くした。
……今度は甘くし過ぎて怒られるかも。 と思ったけれど、八峠さんは『朝よりはマシだな』と言って、当たり前のように飲んでいる。
……この人、本当に病気になるんじゃなかろうか。 むしろコレ自体が病気?
この砂糖の量で『朝よりはマシ』ってことは、どのくらい砂糖を入れれば満足するんだろう……。
と、そんなことを思いながら秋さんの怪我の治療に入る。
……まぁ、治療と言っても、消毒して絆創膏を貼るくらいで終わりだけどね。
「杏ちゃん。 その子ずっと気になってたんだけど、妖怪の類?」
「あ、オサキって言うんです。 んーっと、なんて言えばいいかな……薄暮さんの知り合い……かな」
薄暮さんとオサキの関係性をどう言えばいいのか、少しだけ迷う。
300年前の戦いの時に……と言ってしまおうかと思ったけれど、その前にまず、薄暮さんが不老不死だという話を秋さんは知らないかもしれない。
八峠さんがどの程度話したか わからない状態だったから、私は言葉を濁しながら八峠さんを見るしかなかった。
「秋、簡単に説明するぞ」
「え?」
「薄暮は不老不死、お前を狙ってきたカゲロウもそうだ。 で、薄暮とカゲロウは戦の真っ最中。
そこに居るオサキは300年前に薄暮の邪魔をした奴だ。 そいつを助けるために薄暮はカゲロウを仕留め損ね、今も戦いは続いている。
『カゲロウの血』は呪術師だったカゲロウが俺たち子孫にかけた呪いだ。 以上」
「……あ、なんとなく理解しました」
え……今ので理解出来ちゃうの……?
ていうか、不老不死の話とかあっさり信じちゃうんだ?
まぁ、私もすぐに信じたけど……。
でも私の場合は、目の前であり得ない動きをする薄暮さんを見たからこそ信じたわけで。
秋さんは何も見ていないのに、それでも信じることが出来るのかな……。



