「幽霊なんて怖くないッ!!」



……再び私は、オサキと二人きりになった。


なんだか短時間の間に色々なことがあって、それが上手く処理出来なくて、頭がボーッとする。

私は結局ずっとベッドの上に居て、オサキの結界に守られていただけだ。

……そして私をせいで、双子は今、危険な状態となっているかもしれない。


私がもっと強ければ、薄暮さんに迷惑をかけることなんてなかったのに……。




『杏チャン、八峠クンに連絡した方がいいよ』

「……うん。 そうだよね……うん」




今の私に出来るのは、薄暮さんに言われた通りに八峠さんへ連絡すること。

さっきの出来事を、八峠さんに報告するだけだ。




『こんな事態だっていうのに、八峠クンはどこに行ってしまったんだろうね』

「……ほんと、どこに居るんだろう。 大変なことになっちゃったのに、どこで何をしてるのかな……」

『もしかして、双子のところに居るのかもしれないよ。 カゲロウの狙いに気付いて、先回りしていたかもしれない』


「……うん、そうだと嬉しい。 八峠さんの力がどのくらい強いのかは わからないけれど、でも、八峠さんが居てくれれば、きっと双子は無事だから……」




八峠さんは双子のところに居る。 双子を守ったはず。

きっとそう。 だから今もここには現れていないんだ。


……そうだといいな……。

誰も死なずに、元気で居て欲しい……。


そう祈りながら、八峠さんの携帯に電話をかけた。