………

……




翌日。




「……八峠さん。 私の家で勝手にくつろいでるのは、どうかと思います……」




……私が起きたのは8時過ぎ。

休日だし昨日は寝るのが少し遅かったから、いつもよりも だいぶ遅い時間の起床となった。

当然、仕事のある両親はとっくに家を出ていて、残っているのは私だけ。……の、はずだった。




「それ、私の朝ご飯……」

「料理上手なお袋さんが居て幸せだな。 寝坊娘には勿体ないほどに、味噌汁が美味い」

「……」


「ほら、片付けろ。 寝坊娘でも食器洗いくらい出来るだろう?
俺は風呂に行ってくる。 戻ってくるのに合わせてコーヒーの準備をしておけ。 以上だ」




言いたいことをどんどん言った八峠さんは、食べ終えた食器をそのままにしてお風呂場へと向かっていった。

……彼はまるで王様で、私は召使い。


せっかくお母さんが用意してくれていた朝ご飯だったのに、私は一口も食べることなく無くなってしまった。




「……食後すぐの入浴は体に悪いですよー……」




聞こえていないのを承知でボソリと言い、空の食器を台所へと運ぶ。

……仕方ない、朝ご飯は冷凍庫にストックしてある食パンにしよう。

自然解凍のあと、トースターで焼く。 それにコーヒーをつければなんとなくは朝ご飯っぽくなる。

それでオッケーということにしよう。


と、そんなことを思いながら、冷凍庫からパンを出したあと食器洗いを開始した。