私たちの家系では、幽霊の視える人を『カゲロウの血を持つ者』と言ってきた。

どのくらい前からそう言われているのかはわからないけれど、幽霊が視える子が生まれたら『カゲロウの血ね』と言われ、当たり前のように受け入れられている。

秋さんは『カゲロウの血を持つ者』であり、私も同じ。


両親には『他人には話さないように』と言われ、それと同時に『何かあったら八峠さんに連絡しなさい』とも言われている。


八峠(ヤトウゲ)さんは遠い遠い親戚の人で、この人もまた『カゲロウの血』だ。

彼の肩書きは『自称・霊能力者』。


……って言うと 相当 胡散臭くて怪しい感じだけど、かなり凄い力の持ち主らしい。

でもまぁ、私はまだ実際に会ったことはないんだけどね。


八峠さんの両親は既に他界してるらしく、八峠さん自身も親戚の集まりには顔を出さない。

定期的に連絡が来るから生存の確認はされてるらしいけど、どこで生活してるのかは全くわからない謎の人物だ。


それでも両親曰く、『幽霊のことを任せられるのは八峠さんだけだ』とか。

だから私の携帯電話には、顔も知らない会ったこともない八峠さんの番号が登録されていた。