「……でも、あれからもう5年も経つのね」




小さく息を吐いた雨音さんは、天井を見つめたあとに目を閉じた。

そして、そのあと静かに俺を見る。




「今までは誰がコレをやってるのか わからなかったけど、カゲロウって奴が黒幕なのよね」

「多分ね」

「ソイツ、不老不死でしょ?」


「……え? あ、いやっ……えッ!?」

「ふふふ、図星だ。 やっぱりねぇ、そうだと思ってたわ。
世襲制とか面倒なことをやるより、『一人の人間がやってる』って考えた方が楽だもの。
八峠くんも双葉ちゃんもアンタも、知ってて隠したでしょ?」

「うっ……」


「大丈夫、誰にも言わないから。 でも不老不死って実在するのねぇ……私も不老不死になりたいわ。 ていうか20代の頃になりたかったわ。
あの頃はお肌ツルツルでシワなんか無かったし、男に困ることも無かったし。 今なんてシワだらけのババアで、おまけに未婚で子持ち……。
ハァ、人生どこで間違えたのかしら……」




……なんか、段々 話がズレてきてるような……。




「あ、あのさっ……母さんは、不老不死って聞いて驚いたりしないのっ?」



とりあえず話を戻そう。 うん。




「不老不死とか、漫画の中の話じゃん? ファンタジーじゃん?」

「私らの力だって非科学的なものなんだから、別に驚いたりはしないでしょ」

「……まぁ、うん。 俺も全然普通に受け入れたけど。 でも、もうちょっとこう……なんていうか、驚いて欲しいじゃんっ」


「わー不老不死すごーい。 って、これでいい?」

「……うん、オッケー。 全然オッケー」




ハァ……何やってんだ俺。 ていうか何やってんだ雨音さん。

いや、やらせたのは俺か。


うん、変なことやらせてごめんなさい。