「母さん」
「はいはい、どうしたのかね息子くん?」
「5年間育ててくれてありがとう。 幽霊と戦えるようになったのも母さんのおかげだよ。
これから先は俺が母さんを守っていくから、何も心配は要らないよ」
「ちょ、急に感謝するとかやめてよっ。 それ『死亡フラグ』ってやつじゃない?
やめてよー、アンタに何かあったら鈴音(スズネ)に顔向け出来ないわっ」
「大丈夫、俺 無敵だから死なないもん」
「私にも勝てないくせによく言うわー」
そんなことを言いながら、俺たちは笑い合う。
……雨音さんの言った『鈴音』というのは、俺の本当の母親の名前だ。
母さんは5年前に幽霊に襲われて死亡した。
あの時一緒に居たのは 12歳だった俺と、そして今は俺の母となった雨音さんだ。
母と雨音さんは双子の姉妹であり、二人とも力を持っていた。
……そして俺も二人と同じ力を持って生まれてきた。
5年前、俺たち3人はそれぞれ死にかけたのだ。