「学校、まだ休んでて平気?」

「あ、えっと……一応来週から復帰しようかと」

「自宅から学校に?」


「はい」

「そうか」




そんな短いやり取りのあと、八峠さんは再びコーヒーを口に運ぶ。


秋さんが亡くなった日 以来、私はずっと八峠さんの家に居た。

神葬祭の時に一度自宅に戻ったけれど、必要そうな荷物を持って、そのまま またこちらへ。


学校はずっと休んでいるし、ほとんど家から出ることも無かった。

でも、さすがにそろそろ学校に復帰しなくてはいけない。

出席日数が気になるし、勉強の遅れも今ならまだ取り返せる範囲だと思っている。

だから今週末には自宅に戻り、来週の頭から学校に行こうと考えていた。




「……何か、心配事でも?」




八峠さんの表情は、何故か優れない。

何かを考えるように床を見つめ、そのあとにまた私を見た。




「ここ数日、やけに静かだっただろう?」

「……はい」

「嵐の前の静けさ、なのかなって思ってさ」