【『呪われた家』】




──それから数日が経った。


その間に秋さんの神葬祭が済まされ、私は秋さんとの永遠のお別れをした。

『神葬祭』というのは、仏教で言う『葬儀』のことだ。


神社の宮司である秋さんのお父さんが取り仕切り、自宅でのひっそりとしたお別れだった。

親戚のおじさんが『カゲロウの血だから』とぼやき、他の人もそれに頷き ため息をつく。

そんな話を耳に傾けながら、私はただ下を向くだけだった。



秋さんは『カゲロウの血』だから殺された。

カゲロウに、殺されたのだ。



そんな事情を知っている『カゲロウの血』は、今はもう私と八峠さんだけとなった。

海外に居る男性も結婚して姓の変わった女性も双子の男の子たちも、カゲロウが生きていることは知らずに過ごしている。

ただ単に『カゲロウの血だから』で終わり。

彼らは、何も知らないまま生きている。