「残酷なやり方だったけれど、僕は彼を斬ることで彼の魂をカゲロウから解放した。 だから今はもう大丈夫」

「……はい……ありがとう、ございます……」




ポンポンと優しく頭を叩く薄暮さんに、小さく頷く。

カゲロウに捕らわれた秋さんは凄く苦しんでいたけれど、今はもう大丈夫。

もう、カゲロウに操られることはないんだ。




「よかった……秋さんはもう、大丈夫なんだ……」

「うん」

「もう……操られることは……ない、んだ……」


「大丈夫だよ」




薄暮さんの優しい声を聞きながら、私は静かに目を閉じる。


……安心したからなのか、急激な眠気とダルさが体を襲う。

目を開けていようと努力はするものの、体が言うことを聞かずに 意識が飛びそうになる。




「ごめんなさい、私……なんか、体が…言うことを、聞かなくて……」

「うん、今はゆっくり眠って。 僕が杏さんを守るから、安心していいよ」

「……ごめんなさい……」




ソファーに座っていた体を薄暮さんへと預ける。

ゆっくりと息を吸い、ゆっくりと吐き出した時……私は深い深い眠りへと落ちていった。