「……なんか、ごめんなさい……」




私が八峠さんに連絡してしまったせいで、八峠さんと薄暮さんに迷惑をかけてしまっている。

前は双子の家の近くのアパートで夜を過ごしていたはずの二人が、今は双子の家と私の家とを行き来しているんだよね。

それも、毎晩毎晩……。


双子の家と私の家がどのくらい離れているかは聞いていないけれど、大変なことなのは間違いない。

……二人と同じことをしろと言われても、私には絶対に出来ない。




「……ごめんなさい。 私、八峠さんたちに迷惑を……」

「あぁ、迷惑だらけだな。 わかったのなら素直に俺に従っとけ」

「……はい」




私がここに居れば、八峠さんは休むことが出来る。

薄暮さんはずっと双子のところに居ることになるけど……でも、私の家に移動する時間が無くなったと考えれば、少しは楽になる……かな?




「俺はもう少し寝る。 何かあったら起こしてくれ」

「あ、あのっ……私、制服のままなんですけど……」

「廊下の突き当たりの部屋がお袋の部屋だから、適当に何か引っ張ってくれば?
サイズが合うかは知らねーけど、ハクが掃除してんなら多分綺麗だから」




リビングのソファーの上にゴロンと横になった八峠さんは、かけ布団代わりにかけていった私の制服のブレザーを、再び自分のお腹の上にかけた。

……毛布か何か出せばいいのに。と思ってため息をついてる間に、八峠さんはまたスヤスヤと眠り始めた。


ほんとに、もう……どんだけ寝付くのが早いんだ。

でも、やっぱりそれくらい疲れてるってことなのかな……。




「……色々と、ごめんなさい」




小さくそう言ったあと、私は八峠さんのお母さんの部屋へと向かうべく歩き出した。