君の知らない物語

「直絆くんって国語苦手だったっけ?」

自分の席に座りながら
私は数学の教科書をめくる。

「んまぁ、国語は俺にもいつも
勝てないからな。
一番できないのが国語なんじゃね??」

香流に勝てないのが悔しいのかな?
あんなに頭がいいのに
さらによくなろうとするなんて...。
やはり私とは何か違う。

いつも通り香流が私の前の机を
こちらに向け座る。

昨日やったところも今日やったところも
ほとんどわからなかった...。
早すぎるかもしれないけど
進級できるかホントに心配...。
国語だけしか出来ない私は
とにかく他の教科を理解するのに
精一杯だった。
せめて数学が出来ればな...。