君の知らない物語


私は驚いて香流を見つめた。
香流は遠くの地平線を見つめ続けた。

『俺は、前は自分の生きてる意味が
わからなかった。
家族を亡くして誰のために何のために
生きてるかわからなくなってた時、
彩葉は言ってくれた。
独りじゃないって。』

香流が昔を懐かしんでいるのがわかる。

『俺はその時、生きたいって思った。
この竜宮町で、この仲間たちと。
そう、思えたんだ。』

少し嬉しそうに微笑む香流。
そんな香流の弱さと強さがかっこよかった。