君の知らない物語



足は全く痛みを感じなかった。
それでも当然、いつもよりは
倍以上遅いだろう。
砂浜まで走ることだけを考えていた。
海沿いをひたすら走った。
ずっと、ずっと、走り続けた。
1分でも遅れてしまえば
もう二度と香流に会えない気がして。
間に合ったとしても会えないのは
わかっていたのに。

わかってたよ。
わかってた。
でも、わかりたくなかった。
会えるって信じたかった。
昨日に、あの時に戻れるんじゃないかって。