君の知らない物語

大きな一発の花火が上がった瞬間、
そこは夕方になった。

立ってる場所は変わらないのに
海には夕日が沈んでゆく。

「ねー、降ろしてってば。」

後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
振り返るとこっちに向かって歩いてくる
香流と、香流におんぶされた私がいた。

「ダメだ。
こんな腫れてて、歩けるわけないだろ。」

たしかおんぶされて帰ったのは
中3の体育祭の帰りだったかな。
片付けの時、体育倉庫で
右足が用具の下敷きになったんだよな。