君の知らない物語

あの頃は香流が独りで辛いことだけは
感じ取って、とにかく香流を
安心させようと必死だったっけ。

「香流くんは私にとって大切な友達だよ?
だからもう独りじゃない。」

香流が初めて顔をあげる。

「私だけじゃない。
陸くんも直絆くんもみんな友達だよ。
香流くんがここに引っ越してきた日から
もう香流くんは竜宮町の一員なんだよ。
みんな仲間。香流くんも、大切な仲間。」

「仲間...。」

「そう。仲間。
だから香流くんは独りなんかじゃない。
みんながいるから。」

うっすらと涙を浮かべる香流。