甘い香りと香ばしいアーモンドの匂いを乗せて、今年も奴がやって来る!

そう、バレンタイン!

「くっっっ!」

自室の柱。

刹那は拳を打ち付けた。

骨の芯にまで響く鈍い痛み。

それがどうした。

あの苦痛に比ぶれば、こんな痛みなど、ほんの些細なもの。