「ようこそおいで下さいました」

客人に挨拶して回るのはこはく。

分家の者達に、丁寧に語り掛ける。

「おぉ…あれが夕城の大奥様…」

「何と美しい…孫までおられるとはとても思えん…」

夕城分家の客達が、口々に言う。

いまだその美貌は健在。

見る者を虜にする。

そんな中に。

「あの女性は誰だ？」

一人の客が呟いた。

切れ長の瞳を持つ、チャイナドレス姿の美麗な女性。

美脚を露わにしているが、下品さは些かも感じられない。

夕城宗家次期宗主である瑠璃にずっとついて回っているのを見る限り、奥方のようだが。

「彼女は夕城 鬼龍…次期宗主瑠璃殿の奥方ですよ」

酒を嗜みながら、分家頭領の善が言った。