「いや…僕も由来までは知らないです…亜鳥さん、知ってる?」

「私は妖怪だもの、人間の習慣は知らないわよ」

ノエルに訊かれた亜鳥は、首を横に振る。

「刹那君は?知らない?」

「いや…そういうものを準備する習慣があるのは知っているが、流石に謂れまでは…」

琥珀が訊ねるが、物知りな刹那でも知らないらしい。

昔ながらの風習ではあるものの、意味を知ってやっている者は意外と少ないものだ。