琴月夫妻、音無夫妻、そして刹那と琥珀。

全員揃った所で、頂きますの声と共に夕食が始まる。

「へぇ、小岩井さんに息子さんがねぇ」

琥珀の話を聞きながら、孔雀がサクサクの掻き揚げを口に運ぶ。

「どうですか?お味の方は」

「今日も美味しいよ。奏多の料理はいつ食べても最高だね」

妻の顔を見ながら妖艶な笑みを浮かべる孔雀。

この宗主は、隻眼になってから魔性ぶりに磨きがかかったように思える。

「…この若鶏の唐揚げは琴子さんの作った奴でしょ?」

「な、何で分かったんですのっ?」

一口食べただけで妻の料理を言い当てた久遠に、琴子が驚く。

「やだなぁ、琴子さんの味付けは何でもすぐに分かりますよ。僕が大好きな慣れ親しんだ味ですから」

「フ、フン…」

爽やか発言と適度なツンデレぶり。

音無夫妻は、刹那誕生から十五年が過ぎた今も変わらない。