龍乃一味のカオスな学園生活

一方刹那は、天神学園の夕城道場には一切顔を出さない。

風紀委員の見回りの仕事で放課後は忙しいというのもあるが、理由は琥珀と同じだ。

特に夕城道場には、あのいけ好かない夕城 武がいる。

夕城流の技を盗み見る間者だと思われるのも面白くないし、また武に琴月流音無家の技を見せるのも面白くない。

それに、これは母の琴子から聞いた話なのだが。

『剣客たるもの、勘を鈍らせぬよう、たまには人を斬らねばならぬ』

古流の剣客達は、そう考えて進んで人斬りを行っていたのだという。

勿論幕末やそれ以前、天下の往来での斬り合いが日常茶飯事だった頃の話だ。

新生琴月流は不殺に生まれ変わった流派。

人斬りなど御法度だが、それでも剣客が実戦に身を置くべきという考えは共感できる。

だから刹那は、風紀委員の見回りを怠らない。

不良や腕自慢の生徒達を取り締まり、時には実力行使に出て実戦を積み重ねる事で、剣客としての腕を鈍らせないようにしているのだ。